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『リバース』

『リバース』 湊かなえ・著  講談社 2015.5
 当代の人気作家で本作をはじめ、映像化された作品も多々ある。
 読んだ後に嫌な感じになるミステリー、「イヤミス」という言葉とともに並ぶ作品群にファンも多い。  
 書架にある本書に何気なく手を伸ばしたのは、間違いなくコーヒーを連想させるような表紙のデザインだ。白地に描かれた黒い楕円の羅列。本棚に並ぶ背表紙の中である種異質だった。その背表紙にある18の楕円のうち2つに白い溝がある。珈琲豆にあるセンターカットであることはいうまでもないだろう。その認識だけで私の読書対象となった。

 厳密にいえばコーヒー豆は決して黒くはない。イメージとしての黒だ。珈琲の歴史を紐解いてみると、イスラム社会ではコーランで炭を食することを禁止していたことから珈琲に異を唱えていた人たちはこの点を論拠にコーヒー禁止を求めていたという。17世紀になりアハマッド1世のもと、宗教的権威者たちが「コーヒー豆は炭と呼ばなければならないほど強度には焼かれていない」という統一見解がまとめられ、ようやくイスラム社会において珈琲が公的認知を受けたという歴史がある。

 それはそれとして、黒い楕円に白のセンターカットを見ればコーヒー業界人ならずともコーヒー豆を認知することはたやすいことであると思う。この形状は紛れもないシンボルであるということができよう。もちろん裏返しになればセンターカットが見えなくはなるがそれが混じることで一層コーヒー感が増してくるかとさえ思われる。

 作中でも焙煎店の描写、産地のみならず「南国の花、ピーチの香り」「メロン、マンゴーの風味」との描写やペーパー、ネル、プレス、エスプレッソマシーンといった言葉までコーヒーに関係するものが多い。主人公はそこに勤めているわけではないのだが、それだけに濃密な描写であるともいえる。小説内でスペシャルティコーヒーという言葉を初めて見たような気がした。

 

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2020-09-14 15:56:56

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『月とコーヒー』

『月とコーヒー』  吉田篤弘 著  徳間書店  2019.2

  24の短編集。珈琲自体は本編中にはその言葉だけがちらりと出てくるのみだが、それぞれしっかりと存在している。

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 万年筆の話が連作のように、出てくる。英語でfountain pen。海外で仕事をしているときにその単語がわからず、また先方が中華系だったために漢字で伝えると「ああ、わかる」という話になったのだが、彼も英語でなんというかわからずに二人して笑っていたことが懐かしい思い出だ。 

 万年筆のインクといえば、ブルーブラックという色が記憶に深くある。グーグルで検索すると、今ではヘアカラーに多く使われている言葉であることが分かった。もちろん「万年筆」とつけて検索すると望み通りのものが現れる。何とも懐かしい。

 私が万年筆を愛用していたのが学生時代。中学のころ、お小遣いで買っていたものが非常に使いやすく、長年使っていた。社会人になったころと、「書くこと」がいつしか「打つこと」に変わったころが重なったのだが、ちょうど引っ越しが相次ぎ、その中で残念ながら紛失してしまった。値段以上に気に入って使っていたのだが。

 当時家の近くの文房具店でインクを買っていた。その店のインクは、瓶のものとカートリッジ式のものがあり、それぞれ黒・青・ブルーブラックの3種類があった。その名前にその頃は怪訝に思いつつも何かにつかれるようにそのインクを使っていた。青っぽくも黒っぽくもあり、どちらでもないいわば中性的な色。 

 中学生のころだから、大人への憧憬といったようなものもあっただろう。小説の中などで見た、欧米へのあこがれもあったと思う。縦書きをすると右手がインクで汚れてしまい、横書きで書くことが増えたようだ。(手が汚れるのを嫌い、英語を学んだなどと書けるならばきっと今頃は別の世界が広がっていたことだろう)

 インクが乾く速度の関係で、仕事中はサインペンを使うことが多いが、また万年筆を使う機会を作ってみたいものだ。

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2020-08-05 16:52:50

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『珈琲屋の人々』

 『珈琲屋の人々』  池永陽 著   双葉社  2009.1
 テレビドラマ化された作品。「珈琲屋」という喫茶店で幼馴染の行介・島木・冬子を中心とした人間模様を描いた物語。総武線沿いの商店街が舞台であるという設定ではあるが、話の中になじみのある鷺ノ宮の名が登場することも私にとっては身近に感じられた。

 この店のコーヒーはサイフォンで淹れる。最近では熱源をハロゲンランプでまかなっているものもあるが、作品中ではアルコールランプによるものが使われている。  サイフォンによるコーヒーの抽出は味が安定する反面、原料によりいかに淹れてもおいしく淹れられないこともある。また湯を水蒸気で押し上げてから抽出するため、苦味のきいた熱々の珈琲になりがちである。
 サイフォンのもう一つの魅力は視覚に訴える効果であろう。器具の形状、ランプの光、火を止めた後の珈琲が濾過される様子。暖かい光、落ち着いた光の印象。圧倒的な存在感がある。
 物語の中に出てくるコーヒーはブレンドだけだが、ほかの珈琲もあるとの記述はある(それが何であるかは不明)。
 そこで私ならこの店にどのような豆を使ったブレンドを作るだろうか。
 はじめコロンビアをベースにと考え始めたのだが、本を一読し終えた後では、マスターの行介の実直な性格から中深煎りのグァテマラを使ってみたいと思った。すっきりした飲み口の中に、芯の強さが入っている。折り目正しい味わいと呼んでいる。島木ならマンデリンの明るさとクセをやや浅煎りで表現し、冬子はコロンビアの中庸さを中煎りで表現するだろう。三人あっての店であるのでこの三つを均等にブレンドするということでよいだろうか。

 ひつじcoffeeで扱っている該当の豆

グァテマラSHBアゾテア農園
 切れ味の感じられる豆。すっきりした印象。
 当店では中浅煎りで提供しています。

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マンデリン・ビンタンリマ
 香り高い濃厚な豆。気分転換には最適。
 当店では中深煎りで提供しています。

自社サイト(マンデリン)

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コロンビアSUPマグダレナ

 苦味酸味のバランスの取れた豆。
 当店では中深煎りで提供しています。

自社サイト(コロンビア)

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2020-07-15 09:23:48

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「コーヒーが冷めないうちに」

『コーヒーが冷めないうちに』 川口俊和 著 サンマーク出版 2005

 2018年に映画化された文芸作品。喫茶店フニクリフニクラは望んだ時間に移動できるという都市伝説を持ち、その不思議なお店で起きた4つの奇跡の物語が描かている。
 物語のなかでお店で使われているコーヒー豆に関する描写があり、それはモカであった。「エチオピア産の非常に香りのいい豆が使われている。半面、酸味が強く、クセもあるので敬遠する人もいるのだが(マスターである)流のこだわりでこの店ではモカしか扱っていない」とある。おそらくは浅煎りから中煎りのものではないか、と推測される。本文ではホットコーヒーのみならずアイスコーヒーの描写もあるので、モカしか扱っていないといわれると焙煎度を異にしたものもまた用意しているだろうということも感じられ興味深く想像を巡らせることができる。物語中盤では「コーヒーといわれれば基本的にモカを出す」との記述もあるので他のコーヒーもあるのかもしれないが、アイスコーヒーのことも考えられるし、常連のみに許された裏メニューではないかと想像するのもまた本を読む楽しみの一つである。

 珈琲を営むものとして、このモカの正体を考えてみる。
 ヒントの一つはエチオピア産ということだ。モカはエチオピア産とイエメン産がある。モカという言葉はイエメンにあった貿易港の名前でそこで取り扱われていたコーヒーの総称をいつしかモカと呼ぶようになった。エチオピアはコーヒーの起源がある地でもあり、コーヒーという名前もエチオピアにあるカッファという地から名づけられたという説もある。
 エチオピア産のコーヒーは、東部のハラー、西部のジンマ、南部のシダモが有名で非水洗式(ナチュラル)製法で作られている。またイルガチャフィという村では水洗式(ウォシュト)製法で作られている。用水確保や設備管理上の問題などが長年ナチュラルを作っていることと関係している。
 別のヒントとしてモカのみでアイスコーヒーまで賄っていると仮定すると、先日このブログでも紹介した「モカ・ナチュラルのアイスコーヒー」のようにナチュラル豆を使っているのではないかと推測される。酸味強く、クセもあるとの描写とも一致する。地域としてはイルガチャフィでも2013年ごろからはナチュラル製法の豆が取り扱われるようになってきたこともあり、なかなか特定できない。 モカの深煎りと浅煎りのブレンドを使っているか、アイス用は少し苦みを感じられるようにしているかと想像される。それならばモカのみでもかなり面白いものだ。
 いずれの場合にせよ、モカ香といわれる独特の香りが漂うことは間違いない。

 「フニクリフニクラ」という不思議な喫茶店には、魅惑のモカ・ナチュラルがよく似合う。


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 当店での取り扱い

   モカ・イルガチャフィ
    レモンのようなさっぱりした香りが魅力のモカ。

   自社サイト  
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 モカ・コチャレ・ナチュラル
   モカ香をたっぷりと楽しめるナチュラルのモカ。アイスコーヒーとしても楽しめる。
   自社サイト  
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2020-07-03 13:57:30

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